俺様副社長の溺愛秘書

「松井さん、大丈夫だった？」



副社長室から廊下へ出れば、高城さんが立っていた。不安げな瞳に笑みを向けた。



「大丈夫です。高城さんもすみません。」


「俺は大丈夫。」



二人で秘書課へと戻っていけば、佐伯課長と目と目が合う。


隣の高城さんをチラリと見てから私へと声が掛かる。



「松井さん、ちょっと。」



落ち着いた佐伯課長の声、目が笑っていないのが怖い。


佐伯課長の前に立つ。



「これを。」



渡された資料に視線を落とすが意味不明だ。チラリと顔を上げる。



「同じ過ちを繰り返すなよ。」



小声で言われ、もう一度資料に視線を向けた。どうやらスキャンダルの話らしい。



「尚輝の彼女の自覚を持て。」


「………。」



小声で囁かれる。元彼との話をしているのだろう。元彼とロビーで揉めて副社長にである尚輝にも迷惑を掛けた。



「松井さん、頼むよ。」



佐伯課長に頭を下げて自席に戻る。前の席に座る真央と目が合う。