空に虹を描くまで


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「あったー!」

グランドピアノの上に寂しく定期がポツンと置いてあった。

よかった。
半年分を前払いで定期を買ったから、無くしていたらお母さんに怒られていただろう。

想像するだけで身震いがする。


「お騒がせしました」

「あってよかったな」

無いと思った瞬間冷や汗が出た。

更新してもらったばかりだったから余計に焦ってしまった。


再び靴を履き、家を出ようとした。

「もう送ってくれなくていいよ」

「そう?あ、でも俺ちょっとコンビニ行きたいから、一緒に行くよ」

祐介にそう言われ、一緒に駅まで向かった。


途中コンビニが何件かあったけど、駅前のコンビニに行きたいらしく、結局最後まで送ってもらった。

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