メープル*パンケーキ【2巻】*Happiness story*

「…夏音っ。…ねぇ、何か飲もうよ。寒いでしょ?」

確かに夜の病院はひんやりしていた、特にロビーはもう全く人気が無いから余計に。

『うんっ、飲む…。』

幾斗にジュースを買ってもらい、二人並んでロビーの椅子に腰掛ける。
幾斗の隣に腰を下ろし、ただただ自分の足元にしか視線が向かない。
幾斗の顔が見たいのに、目線を持ち上げる事が今の私には不可能で、ひたすら溢れ出る涙を服の袖で拭きあげるばかりで。
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