メープル*パンケーキ【2巻】*Happiness story*
この時…ほんの一瞬だけど不意に見せた彼女の寂しそうで悲しい表情に何故か胸が締め付けられた。
普段から甘え上手で素直な性格だから、もしかしたら巧く誘導する為の作戦なのかな?って思ったけど…何か違う気がして。
そんなりりあちゃんの顔を見たら放っておけなくなって私は、彼女に微笑みかけた。
『…一緒に作ろっか♪』
「えっ…?」
「夏音さん、マジで言ってる…?!」
『うん。ちゃんと冴木君用の鉄火丼も一緒に作るから♪…だから、りりあちゃんのお手伝いもして良い…?』
「っ……もちろん♪」
最初は目を丸くして拍子抜けした顔だった冴木君だったけど、笑い掛けるとふわっとした微笑みが溢れた。