愛されることを受け入れましょう
そっぽ向いて話す理一君の顔はちょっと赤い。

「後で店、メールする。とりあえず仕事しろ」

ぶっきらぼうに言い捨てて、給湯室から出て行ってしまった背中を見送って思う。

この後、理一君の申し出を断るつもりの私には、この気遣いや優しさが逆に辛い。いっそ、もっと傲慢に振舞ってくれたらくれたらいいのにって。

「って、これも八つ当たりだ」

自分が悪者にならない為の、傷付かない為の八つ当たり。なんの意味もないのに。




なんとかやり過ごした午後を経て、私は待ち合わせのカフェに来た。

会社から少し離れたうえに、一本路地に入ったお店だから会社の人に偶然会うこともなさそうだ。よく見かけるフランチャイズのカフェだけど、理一君の気遣いを感じて少し嬉しくなる。

「悪い、待ったか?」

「全然。私もさっき着いたとこだよ」

定時と同時に席を立ったのは、早く着いて少しでも心を落ち着かせたかったから。
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