愛されることを受け入れましょう
『そろそろ帰れる?今、店の前』

帰宅方法を巡ってのひと悶着も想定内だったのか、見てたの?と思ってしまう程のタイミングの良さだ。

「柚珠奈?俺たちもタクシー呼んだから帰るぞ」

急いて返事を送ろうとした私の横に来た理一君が、当然のように促してきた。

「あ、あのね、理一君、私、実は‥‥」

言いずらい。一緒に帰る事を疑いもしない眼差しに、思わず言いよどんでしまう。

それでも、視界の端に映るひよりちゃんや由紀ちゃんの頑張れ!って視線に背中を押されて意を決して口を開く。

「あの、私!」

「柚珠奈は俺が送るので、お気遣いは無用ですよ」

突然現れた樹くんの声がかぶせるように私の言葉を引き継いだ。

その視線は私じゃなくて理一君を怖いくらい真っ直ぐに見つめて、外されることはない。突然現れた樹くんに驚いた理一君も、視線をうけたまま。言葉を発することもなく、まるでにらみ合ってるみたいだ。

やたら長く感じる静かな時間耐えきれなくなって、意を決して声を出した。

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