奏でるものは~第2部~


「ただいま~。
親父に頼まれておつかい行ってきたよ、マジ暑い!」

冷蔵庫に飲み物を取りに行き、最近の出来事からワイドショーネタまで喋り出す昌さんが、救世主に思えた。


とりあえず毎日集まるらしい、メンバーも夏休みは時間がそれぞれだと言う。


青蘭のメンバー、家の用事も色々あるんだろうと、従兄弟の頼斗を思い出す。
頼斗もおじ様の用事に長期休みは使われるらしい。
そこそこの社会的地位があれば、挨拶や、家の用事にも煩くなる。

学校が普通にある期間の方が、用事は免れるのだろう。
そしてまた、同級生の繋がりが、社会に出たときの新な繋がりになるらしい。

友情があるか、ないか。
ただのクラスメイトか、青春を一緒に楽しんだか。
様々な関係を築く基になるのだろう。

私は誰の家のことも知らない。
そしてまた、知りたくない。
大人になる前に、知りたくない。
今は、大人の柵のなかには、入りたくなかった。





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