奏でるものは~第2部~
夕食後、両親に呼ばれた。
「歌織?ちょっと話いいか?」
珍しく書斎に呼ばれた私が行くと、両親が少し困った顔をしている。
「どうかしました?」
「うん、ちょっと…」
と顔を見合わせる両親。
思いきったように私の顔を見て父が話始める。
「実は、私の、いや、お前のお爺さんの代から繋がりのある家の友人が息子さんと歌織を将来結婚させたいと言ってきている。
私達は無理やり結婚させるつもりはないんだよ。
でも、まだ先の話だけど1度お見合いをすることになるだろう。
その時に縁がないと断っても構わないが、なにか変な男に引っかけられそうなら、許嫁がいると断る手段に使っても構わない。
一応言っておくよ」
寝耳に水、だった。
見開いた目を見て、父がクスッと笑いながら、
「お前が選んだ人ができたときはそれでいい。
でも、その人も縁があったと将来お見合いだけはすることになることを覚悟しておいてほしい。
見合いも出逢いだから」
「………おやすみ」
嫌だと断ることもできず、わかったと了承もできず、部屋を出て、まっすぐ自分の部屋に戻った。