眠れぬ王子の恋する場所
「付き合ってもないのに関係持つとかまずないタイプだから、気をつけろって。だから、それからは気を付けてた。嫌われたくはなかったし」
言われて、そういえば……とハッとする。
たしかにあれから、久遠さんに触れられたりってあまりなかった。
ベッドで抱き締められるのも、そういう意図じゃないってわかるようなものだったし……。社長に言われたことを気にしてだったのか。
私に、嫌われないようにって、考えてだったのか……。
「自分で性欲強いとは思ったことなかったけど、さすがに一緒に住み始めてからはツラかった。好きだって気持ちもどんどんデカくなるし余計に。……だから責任とれ」
どういう意味での〝責任〟なのかはわからないけれど。
望んでくれている言葉が嬉しくて、ふっと気持ちが解けるような気分だった。
久遠さんには、私が〝責任〟なんて言葉でどれだけ喜んでいるかがわからないと思う。
でも……久遠さんの口からそんな言葉が出たことが、望んでくれていることが、嬉しくてたまらなかった。
ふたりの未来に繋がるような言葉に、胸が震える。
傲慢なのに、どこか諦めていて望むことが下手な人だから。
傍にいて、私ができる、出来る限りのものを差し出し続けてあげたいと思う。
久遠さんに、幸せを望んで欲しいと思う。
「はい。責任とって、久遠さんを幸せにします」
そう微笑むと、久遠さんはわずかに目を見開いてから……困ったような、嬉しいような、そんな笑みをこぼした。
END
2017.7.27


