眠れぬ王子の恋する場所
「んっ、久遠さ……っ、ちょっと待って……!」
必死に抵抗するのに、意外にも力の強い久遠さんに思うままにされ、どうにか逃げようと試みる。
こんな朝日がさんさんと照らすなか、するなんて無理だ。恥ずかしい。
なんでこんな一面ガラスみたいな部屋にしたんだと、八つ当たりしながら、脱がしにかかってくる久遠さんの腕を止めると、不満そうに顔をしかめられた。
「……邪魔」
「邪魔してるんです。するのはいいんですけど、夜にしましょう……? 一応、女ですし……こういう明るいのは、ちょっと……」
恥ずかしいとか言うのは照れくさくてもごもご言うと、久遠さんはそんな私をじっと見てから無言で行為を続行してくる。
面倒になったのか、着ていたブラウスを裾から捲り上げられ、慌てて止めた。
「ちょ……! だから!」
「恥ずかしがられたり嫌がられると燃えるって三ノ宮が言ってた意味がわかった」
露わになったおへそのあたりに唇を寄せながら「まぁ、興奮すんのはおまえだからだけど」と、なんでもないことみたいに付け足され、うっかり胸を打ち抜かれてしまう。
なににも執着しないような顔している久遠さんが、私を特別みたいに言ってくれるのが堪らなく嬉しくて……もう、明るさとかどうでもいいかとさえ思えてきてしまう。
「もう……なんなんですか……」
「なにが」
「ずるい……」
どっちみち、久遠さんは止まらなそうだし……と諦め、せめてと手の甲で顔を隠す。
抵抗を止めたのに気付いたのか、久遠さんは脇腹に唇を這わせながら、捲り上げたブラウスのボタンを外しているみたいだった。
入り込んだ夏の風が、肌を撫でていく。
「社長と、他にどんな話するんですか?」
まさか、どんなシチュエーションが燃えるとかそんなこと話しているとは思わなかったから聞くと、久遠さんはショートパンツのホックを外しながら答える。
「おまえは真面目だから、もし惚れてるなら順序踏んだ方がいいって言われた。……あー、たしか、あの時だ。おまえのこと泣かせたあと、三ノ宮が部屋訪ねてきて」
レストランの食事券のやり取りがあった時か……。