エリート御曹司が過保護すぎるんです。

「でも、紫音ちゃんのことが好きだって、二階堂さんが総務の女子に言ってるのを聞いたことがあるよ」

「まぁ、親戚だからね。あいつ、社内の女子に告られるのがめんどくさいから、私と付き合ってるってことにしてたみたい。バカだよねー」
「……はぁ」

「それに私、社内に敵が多いからさ。一緒にいて、周りに睨みを利かせてくれていたっていうか。それで本命に誤解されてちゃ、世話ないよねー」
「……本命？」

　紫音の言葉に、心臓が跳ねる。

　まさか、ね。
　また勘違いしてしまいそうになる自分に、必死で歯止めをかける。

「これ以上のことは、私の口からは言えないや。でもそういうことだから、私に遠慮なんて必要ないんだからね」

　にっこりと優しく笑う紫音の頬に、小さなえくぼができた。
　いままで気にしていなかったけれど、言われてみると、笑った顔が二階堂さんに少し似ている。