エリート御曹司が過保護すぎるんです。
「今朝までに届いていた、FAXです」

 気持ちをあらためて、部署ごとに分けておいたFAXの束を手渡す。

「ありがとう」

 そう言ってニコッと笑った顔に、片えくぼができた。

(あ、かわいい)

 この笑顔を見ることができただけで、今日も1日頑張れそうだ。


 サマータイムで出社時間が早くなり、少々憂鬱に思っていた。
 けれど、こうして誰にも邪魔されずに二階堂さんの姿を堪能できるのなら、けっこうお得かもしれない。

 ゲンキンな私は、明日からの通勤が楽しみになっていた。
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