奏でるものは~第3部~
荷物を運びだし、家に帰ったのは夕方だった。
兄は明日には再び出張先に戻るらしいので、一緒に食べる夕食は賑やかだった。
夕食後、祖母や叔父も来ていて、宴会のようになっていった。
ある種の興奮状態ではあったが、さすがに疲れを感じる。
「先に寝るね
今日はありがとう」
「おつかれさん、ゆっくり休みなさい」
父の言葉に、はーい、と呟き、姉の仏壇に手を合わせる。
―――お姉ちゃん、発表会終わったよ
心で話しかけて、立ち上がった。
「和太鼓との演奏、よかったよ。
もうしばらくは発表会ないのか?」
「しばらくないよ。
しょっちゅうあったら、身体が持たないよ」
と笑いながら兄に応え、おやすみ、と告げ部屋に戻った。