奏でるものは~第3部~
昼休み、お弁当を食べ終わって春菜と喋っていると、バレンタインの話になった。
「歌織?バレンタインはどうするの?」
「どうするもなにも、もう買ったよ。春菜は?」
春菜のキレイな顔が目を見開いて驚きの表情に変わった。
「え~?手作りしないの?」
「しないよ?だって、料理人には向いてないもん」
「はぁ~?それでいいの?」
「しょうがない。優さんも期待してないと思うよ」
「一緒に作ろうよ」
「やだ、絶対、い・や・よ!」
「優さん絶対喜ぶし、簡単だよ?
チョコ溶かして型にいれるだけでできるよ。一緒に作ろうよ」
「あ~無理無理、また機会があればね~」
「今こそその機会じゃん。チャンスよ?私と一緒に作れるよ?
ちょうど日曜日がバレンタインだから、土曜日うちに来てよ。
いや、待ち合わせて材料買いにいこ。そしてすぐ作っておしまい。
ね?決定。土曜日1時にショッピングモールの一階の案内所ね。
絶対くるのよ、キャンセルなしよ?」
と、強引に決められてしまった。
―――めんどくさい
それが本音。
春菜はこんな強引な人だった?
春奈は機嫌よく話題をドラマの話に変えていた。