奏でるものは~第3部~
翌日放課後
春菜に、忙しいの?と聞かれた。
高野君たちも、なんだ?と聞いてくる。
さすがに今から青蘭に行く、とは言えず、発表会が近いので、と言葉を濁す。
じゃ、と昇降口で別れて、車の方へ行くとすでに師匠と香奈美さんがいた。
「行こうか」
優さんたちに会いませんように、と願い車に乗る。
「車で20分くらいだろ?
正木たちもいるから、大丈夫だよ」
何が大丈夫なんだか、良く分からないが、窓から回りを見ていると、青蘭の制服が見え出した。
おそらく裏門と思われるところから入った駐車場に車が停まった。
「着いたね」
香奈美さんに頷いて聞いた。
「何も喋らなくていい?」
「師匠が喋ってくれるよ、歌織は笑ってたら大丈夫」
「じゃ、笑ってます」
二人で吹き出した。