奏でるものは~第3部~
ろうそくに火を灯し、線香につけた。
線香をたてて、膝をついて墓石を見上げる。
姉の指輪を供えた。
―――お姉ちゃん、歌織だよ
手を合わせて俯き、心のなかで話しかける。
フワッと風か舞い、サイドの髪の毛が顔を覆う。
―――誕生日だね。18年前、生まれたんだよ?
墓地に砂利を踏む誰かの足音が聞こえる。
しばらく、指輪のことを姉に尋ねるように、話しかけていた。
足音が後方で止まった。
―――誰か来たみたいね。