奏でるものは~第4部 最終章~

1月終わりの寒い土曜日。

功さんの会社のショールームで、功さんとアドバイザーの女性と本格的に家具を決めようとしていた。


考えてきた家具のイメージは優人さんと割りと近かった。



「優人、家具や内装は嫁さんに決定権があるぞ」

「そうなのか?」

「ただ、お前の荷物の量は?
家に置いてくる物があるとしても、これから増えるから余裕持ってたほうがいい」


優人さんが、ちらっと私を見て目が合う。


「本棚が要る、んだけど」

「書斎に置くなら好きなものを選んだらいいんじゃない?」


そう答えると、功さんが会話に加わる。


「歌織ちゃんは?楽譜とかは?」


その言葉に胸が掴まれる気がした。


「……楽器は置かないから」


「そっか」


「でも、服と靴が多いかも」


その後も細かいことを考えさせられるアドバイスを貰って

「2月中には決めよう」

と言われてショールームを後にした。



 


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