奏でるものは~第4部 最終章~



3月終わりにサイタグループ全社の異動の辞令が出る前日、サイタグループの大会が行われ、大きな人事異動に関連の部や会社の功労賞、永年勤続者の表彰の関係者が出席する。

そこで私も人事異動として、発表されることになった。


「毎年、この大会で演奏するのは箏とピアノでしょ?
たまには違う楽器もどうなのかしら」

「毎年同じだけど、出席者はちがうからね、毎年同じ方がいいんじゃない?ほら、美幸、出番よ」

「はーい」



開場に合わせてピアノを弾いてくれる柏田美幸(カシワダミユキ)。
大学が同じで、今は大学院に行きながら、演奏派遣の仕事をしている。


優しいピアノが始まるとドアが開き出席者は入場し始め、会場がざわつく。

私は、発表に備えて立食の会場ではなく、舞台近くに控えていた。





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