私に触れて、そして殺して



「大丈夫?顔色が悪いよ?」


ぶつかった人が心配そうに
私の顔を覗き込んできた



『…だいじょう…ぶ、です』



なんとか答えたが大丈夫ではない
身体中の血の気が引いて行く感じがして
早く帰らなきゃ、
ここに居たらダメだと
頭でわかっていても身体が動かない



「本当に大丈夫?凛子ちゃん?」



え…?
私の名前を口にした人
なんで私の名前を知っているの?
その人の顔を見ても
誰なのか、思い出せない

と、いうか私は知らない



『…なんで?…私の、名前を?』


そう聞くと、その人はにこっと笑い
掴んでいた私の腕を強く引き寄せた


「何でも知ってるよ」


その言葉と同時に身体に痛みを感じた
意識が遠のく中
見えたのは三吉さんと髪の長い女の人の後ろ姿

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