温かい絆を教えて


母がお風呂から髪を拭きながらあがってきた。

「セオはもう帰ったのね?」

「また明日来るって」

「そう。まあ、私と一緒にいたら落ち着かないわよね。
マイカ、ちょっと飲もうか」


缶ビールを持ってきて、私にくれる。


「乾杯」


缶を合わせて一口飲む。


「分かっていると思うけど、セオも転勤があるはずよ?

付き合うにしても、結婚しても遠距離や単身赴任になる人が多いからマイカも大変だと思うけど。

しっかりしなさいよ?

ミズトがいるんだからね」

「分かってるのよ。でも、急な話で予想外って言うか、人生の想定外よ」

「セオにとっては、本当に想定外だったはずよ。
私はまあ、ミズトの父親は不倫か亡くなったのかと思ってたから、そうじゃなくて良かったけど」

「ハハ、そう思ってたんだ」

「もう、逃げちゃだめよ」

「うん」

「セオはモテるみたいだけど、仕事は頑張ってる」

「そっか」

「マイカも頑張りなさい。
それから、心配してくれてる友達にもちゃんと連絡しなさいよ」

「そうね」


ヒナタとアヤを思い出した。
どうしているのか?

ショウタから私のことを聞いたのなら、心配してるのだろうか?

呆れて怒ってるかもしれない。

でも、あの二人がいなかったら、私はショウタと出会わなかった。


連絡、してみようかな?




< 169 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop