子犬男子に懐かれました
そんな事を思いながらも、無事見たかった映画も見終わった。
「優也くん早く出よう」
この中には、壮介くんがいるはずだから見つかる前に映画館を出たい。
「さっちゃん、中本くんあそこにいるけど声掛けなくていいの?」
なんだって……?
チラッと優也くんの指さす方向を見ると、花ちゃんと仲良く残ったポップコーンを頬張っている。
何あの笑顔
見た事もないような幸せそうな顔で笑っちゃってさ
なのに何であんな彼女にするような事を私にしたの…。
花ちゃんが好きなはずなのにーー。
「いい、早く行こう」
「えっ、本当にいいの?」
「いいってば」
ーーあ、
思わず反射的に口元に手を当てる。
……優也くんは何も悪くないのに、思わず強い口調になってしまった。
「ごめん…、ちょっと俺しつこすぎたかな?」
「違うの、優也くんは悪くないの。私が……私がいけないの」