子犬男子に懐かれました


そんな事を思いながらも、無事見たかった映画も見終わった。


「優也くん早く出よう」


この中には、壮介くんがいるはずだから見つかる前に映画館を出たい。


「さっちゃん、中本くんあそこにいるけど声掛けなくていいの?」


なんだって……?

チラッと優也くんの指さす方向を見ると、花ちゃんと仲良く残ったポップコーンを頬張っている。


何あの笑顔

見た事もないような幸せそうな顔で笑っちゃってさ

なのに何であんな彼女にするような事を私にしたの…。

花ちゃんが好きなはずなのにーー。


「いい、早く行こう」


「えっ、本当にいいの?」


「いいってば」


ーーあ、

思わず反射的に口元に手を当てる。

……優也くんは何も悪くないのに、思わず強い口調になってしまった。



「ごめん…、ちょっと俺しつこすぎたかな?」


「違うの、優也くんは悪くないの。私が……私がいけないの」



< 71 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop