毎日、休日。



知らない番号が表示されていて、不審に思いながら電話に出る。すると、相手は〝警察〟を名乗り、和香子の心臓が飛び上がった。

生徒が問題を起こしたのなら、まず学校へと連絡が入るはずだ。ドキドキしながら和香子が詳細を聞くと、事件の当事者は生徒ではなく、健人だった。


なんでも、街をフラついていた時に、不良グループに絡まれて、殴る蹴るの暴行を受けてしまったらしい。
今は怪我の治療をしているとのことで、和香子は取るものもとりあえず、病院へ駆けつけた。


「あー、和香子。向かえに来てくれて、ありがとう」


顔に体に怪我をしているにも関わらず、健人はいつもと同じニッコリと和香子に笑って見せた。


「……どうして、こんなことになったの?!」


普段、生徒が同じようなことになったときには、優しく経緯を聞き出してあげる和香子だけど、健人が相手だと呆れるのと心配とが入り混じって、その語気はおのずと強まってしまう。


「んー。僕は河原の草っぱらに寝転がって、雲を眺めてたんだよ」


「……雲?」


「そう、雲。大きな雲や小さな雲が、青い空にぽっかり浮かんでて、それが今日は次々といい具合に流れていってたんだよねー」


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