君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「何だよ。
言いたいことがあるなら言ってくれ」

「カナトが機嫌が良いのは、絵本の出来事が現実に起こって、リンタールが救われることを期待してるからだと思いましたけど…。

どうやら別の理由もあるようですね。

鏡の部屋に匿われた彼女の姿、俺がこの目にちゃんと焼き付けておきます。
嫉妬しないでくださいね!」

「や、焼き付けるな!」

そう叫ぶのが精一杯だった。

「でも、いいんですか?
あんな絵本で縛りつけたって、本当のことが知られたら全部終わりなんじゃないですか?」

本当の事、か。

まったく、痛いところを的確についてくるんだから。
味方と言えど油断できない。

「知られないように、手は尽くすさ」

一呼吸置いて、窓の外を見る。

…あ。
自然と鏡の部屋の方を見てしまっている。

この時は、まさか神楽弥が大変な目に合っているなど、想像もしてなかった。

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