初雪の恋

学園祭②


 現実に戻ると、幸人が心配そうに私を見ていた。


 「ゴメン。ボーッとしてた…。」


 笑顔を幸人に向けたと、同時に私の頬に幸人の手が伸びてきた。


 「紗姫…。泣くな。」


 「えっ………。」


 自分で気付かない内に、私は涙を流していたようだ…。


 涙に気付いたら、今以上に溢れてきた。


 忘れることの出来ない幸せな時間。


 海斗さんの声。温もり。大きな手。低くて、優しい声。


 目をつぶればどれも直ぐに思い出す。


 忘れないられない想い。
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