初雪の恋
そんな私を見て、海斗さんの動きが止まる。
「どうした?」
海斗さんの顔を見ながら
「海斗さん。助手席に女の子乗せて、彼女に怒られない?」
「お子ちゃまはそんな、大人的な心配はいりません。てか、今いないし彼女。だから、とっと乗れ。」
再び車に促す海斗さん。
「お子ちゃまじゃあないし。」
頬を膨らませながら、車に乗りこむと、私がシートベルトをするのを確認して、ゆっくりと車を発進させた。
緊張して、なにを話していいのか分からず、車内は静まり返っていた。
「紗姫眠いなら、寝てもいいぞ。」
「大丈夫。ただ初めて、海斗さんの車に乗ったから、事故しないか、心配なだけ。」
せっかくのデートなのに寝てしまうなんて、もったいない。
すると、左手をハンドルから離して、私の方に伸びてくる。
「い゛だぁぁい゛。」
右頬を海斗さんに摘まれた。
「お前いい根性してるな。ごめんなさいは?」
うっっ。本当に痛い。涙目になりながら、素直に謝った。
やっと離してもらった右頬を、さする。