親愛なる君は、私の親友である
お泊り誕生日と、吐露。

ガールズトークの定説

 高2になるまで、あと3日。
私はこの日、お泊り兼誕生日会と称して友人宅に来ていた。
少女の一人部屋に、7人で輪になって座る。友人の誕生日までは、まだ2時間程あるのだった。
純情な少女が7人も集まれば、もっぱら起きるのはもう何か決まっている。
プラトニックな恋物語の発表会だ、それは各々が主人公の。それは現在の恋人との出逢い編だったり、すれ違い編だったり、もはやただの惚気であったり、する。
「先輩とキスしたの!?」なんて友人の新事実が発覚すれば、それはもう大事件が起きたようなものである。
この時、この刹那、私は実に、ああ、女の子って素敵だなあ、と感じる。
こんな狭いへやに、もし自分たちがむさ苦しい男子だったら、なんて想像してみる。きっと甘酸っぱい恋バナなんかに花を咲かせたりしない。下ネタとか、すきなAV女優は誰だとか、誰と誰がヤったみたいな、そんな話。多分それはそれで楽しいんだろうけど、女の子のほうがこうして一歩ひいて見た時、絵になるよね。いや、総じて偏見なんだけどね。
「あけびはいないの?」
ふいにそう聞かれて、え、なにがよ、と返してしまう。
「好きな人だよ、もう元カレと別れて結構経ったでしょ」
あー…と宙を見上げ、考え込んだふりをする。結構経ったって、まだ半年も経ってはいないのだけれど。目の前の娘はかなりの恋愛体質である。驚くほど熱しやすく、そしてある時さっと、魔法が解けるように冷めるのだ。つい数ヶ月前までは元カレと別れた淋しさに涙していたくせに、今は同じ部活の彼に絶賛片思い中らしい。話を聞くたび彼女の恋愛的体内時計のスピードにほとほと呆れるのだが、そこが魅力のひとつでもあるよなぁと私は思っている。
閑話休題。この物語の主人公は私だ。
いないよ、と言おうとして、再考する。ほんとにいいのか、私。高校に入ってからの付き合いではあるけれど、それでも今は一番近い人間たちだ。なんだって言える6人だ。それに、今のこの場は発表会。自分もなにか話すべきだろう。
「…いるよ、ずっと、ずっと前から」
やっとのことで声を絞り出して告白すれば、会場は一瞬、静まり返る。私はにたりと笑む。さて、ここからは私の独壇場だ。
「嘘でしょ!?」
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