強がり女の唯一の男
これは、本心。
安達君が浮気を許してほしいというのなら、私だって浮気したけど安達君は許せるのかを問いたい。
「・・・お前、強がるのもたいがいにしないと自分の評価落とすぞ?」
私って強がってる?
「だって、自分が許せない事を私に許して欲しいだなんて、それこそ許せないよ」
私は俯きながらポツリと言った。
私は安達君とは同等だと思って付き合ってきた。・・・自分が許せない出来事を、私にだけ許してほしいと言われても納得できない。
そういう考え、強がってるっていうの?
「バカ男が もし、お前の浮気を許すって言ったら、お前はバカ男の浮気を許すってことか?」
公平は私に訊く。
「・・・許すよ。 浮気相手を浮気だったって言ってくれるなら」
「言ってる意味が解らないが?」
「あくまでも浮気であって、本気じゃ無いって・・・酔った勢いの一夜の過ちだったんだって・・・私が一番だって言ってくれるなら、許す」
ただ、テーブルを見つめて私は決意しながら公平に告げた。
もしも安達君が私が浮気したと言っても、許す。と言ってくれるなら、私も安達君を許す。
それがどんなに悔しく情けないことでも・・・。
それほどに安達君を愛しているのか?と訊かてたら、そうではない。と答えると思う。
好きだけど、愛しているというほど強い気持ちがある訳では無い。
私は安達君と一緒の時間に苦痛を感じたことが無い。
一緒に仕事を頑張ってきた同士として、恋人として、不満がなかった。
そういう存在を手放すことに不安を感じてしまっている。
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