強がり女の唯一の男
「一度許したら、また浮気されるぞ?」
「え?」
公平の言葉に私は驚いてしまう。
「また許してもらえるって思われて、何回も浮気されると思うけどな~」
何回も浮気される?
そんなの耐えられない。
「・・・」
「それに、お前も浮気しただなんて事を言ったら、お互い様だろ?ってお前は軽い女だって思われるんだぞ?」
その通りなのかもしれない。
「・・・」
私の視界が滲む。
「バカ男に大事にされなくなると思うけどな・・・」
今まで大事にされてきたと思う。 それが、もう大事にされなくなるの!?
「じゃあ、どうすればいいの!?」
私は声を荒げて公平に訊いた。
「別れるしかないだろ」
公平の冷静な声。
別れる・・・別れるの? 安達君と?
「・・・なんで、こうなっちゃったんだろう」
視線を落として私は呟く。
「お前、バカ男にちゃんと甘えてたか?」
甘える?・・・そんなことしたことない気がする。
私はフルフルと首を左右に振った。
どちらかというと、お酒の入った時の安達君が私に甘えてきていたって感じ。
普段は同僚の枠が消えなかった様に思う。
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