強がり女の唯一の男
「甘え上手な女が寄ってきたら、強がってばかりの彼女より可愛く見えるのは当然だな」
公平は言った。
「どうして甘え上手な子が浮気相手って判るの?」
可愛らしい顔と声の女性だった。 きっと甘え上手な女子力の高い女性なのだろうと思う。
「なんとなく? そういう女に引っかかったんだろうなって、思っただけ」
公平は小さく笑った。
引っかかった・・・そうなのかな?
安達君から誘ったんじゃなくて、誘われたのかな?
「安達君とは同期だし、もともと戦友っていうか・・・最初から甘える様な関係じゃない所からの始まりだったの」
「・・・まぁ、急に変われって言っても難しいか」
「うん。 お互いに支え合っていけるイイ関係になれると思ったんだけど・・・」
実際、そういう関係を築いてきたと思っている。
「バカ男が浮気してるってなんで分かったんだ? まさか、現場に鉢合わせたのか!?」
「・・・見ては無いよ。 安達君の課の飲み会がある日に、帰ったら電話するって言われてたの。
いくら待っても電話が来ないから、私はもう寝るねって一言伝えたくて電話したら・・・」
「他の女が電話に出た?」
「うん。 驚いちゃった・・・」
「で、宣戦布告されたのか?」
「そう。 安達君に抱かれたんだって、その後ご丁寧に裸で眠ってる安達君の写メが届いたの」
「ふ~ん。 それってただ酔って寝てたってだけじゃねぇの?」
そういうことがあるかもしれない!・・・でも、実際は分からない。
「そうかもしれないけど、そうじゃないかかもしれない」
私は唇を噛みしめた。
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