強がり女の唯一の男
「それでも、俺は浮気した男を許すべきじゃないと思うぞ?」
急に公平が真面目な声で言った。
「え?」
「そのバカ男、また女に甘えられて誘われたら同じことをする」
嘘っ!?
「断言しちゃうの?」
「する!」
そういう奴は何度も同じ間違いをする。と公平は言い切る。
何度も・・・? それは、耐えられる自信が無い。
「そうなのかな・・・」
「結局、小雪のことなんて大切だと思って無いんだよ。 同じ会社で毎日会えてて、帰ったら電話するとまで言った小雪の事を大切で失いたくなって思ってるなら、他の女と寝るなんてできる訳ない」
「欲求不満だったら断るの難しいってさっき公平が言ったのに」
「小雪と長いこと会えないっていうなら解るけど、小雪を抱かなかったのはバカ男の所為だって思ったから」
「・・・でも、やっぱり私が拒んでた訳だし」
「小雪がその気になる様な努力しなかったのはバカ男だろ?」
「仕事、仕事って言ったのは私」
「それでも、バカ男を好きだって気持ちがあるんだ。 ムードによっては抱かれたかもしれないだろ?」
ムードって・・・そもそもそんなムードになる様な状況にさえならないくらい仕事に没頭してたのは私。
「・・・公平、さっきから矛盾してない? 私だって悪いんだから反省しろって言ったのに、それじゃあ、安達君が全部悪いって言ってるのと一緒でしょ?」
その言葉を聞いて、公平はクックッと笑いだす。
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