強がり女の唯一の男
「何、図星?」
私が言うと、
「浮気・・・え、どうしてその事・・・・」
安達君の態度で、浮気が事実なのだと判ってしまった。
しかも、浮気した事を私が気づいているってことは知らないんだろう。
では、お昼休みの ごめん。は、約束したのに電話出来なかった事に対してだった?
「お昼休みに ごめん。なんて言ってきたから潔く浮気を謝ってきたんだと思っていたけど違ったんだ?」
「あ・・・いや・・・」
「何? 謝りたいの? 別れたいの?」
私の口調は冷たいものだろう。
「別れる!? まさか!? 嫌だよ!」
なにが まさか!?なの?
嫌だよ!なんて事が言える方が私にしてみれば まさか!?の往生際の悪さだ。
「別れたくないの?」
「もちろん!」
「じゃあ、どうして浮気したの?」
私は落ち着いた声で安達君に訊いた。
これから安達君が何を言おうと、どう謝ってくれようと、私の答えは決まっている。
安達君本人の口から浮気の事実を認めた時点で私は安達君とは別れる。
それは、もう私のなかでの決定事項。
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