強がり女の唯一の男
「私は公平を安達君の代わりにしたことなんで無い。
安達君は、私の代わりに他の人を抱けば満たされたんでしょ？」
それなら私と別れたくないという意味が分からない。
私でなくてもいいのではないの？
「満たされるなんて・・・そんな事は無い」
力無く答える安達君。
他の人を抱いても満たされなった？
安達君と肌を重ねなくて2ケ月近く経っている。
いくら　もともと回数が少ないといっても、欲求不満になるには十分な期間なのかもしれない。
だけど、その捌け口が私ではなく、別の女性に向けられた事実は変えられない。
・・・あの日、安達君に電話して本当に良かったと思う。
でなければ、安達君は何事も無かったかの様に「あの日、電話しなくてごめんね」だけで浮気の事実を私に告げることは無かったんだろう。
何も知らずに安達君と付き合い続けていた・・・そんな滑稽なことにならずに済んで良かった。
・・・安達君はきっと私が浮気した。と言ったら許せないんだと思う。
自分で許す事ができない事を、私には許して欲しいと縋る。
なんて自分勝手なんだろう。
「満たされなくて残念ね？」
私は高飛車な感じをわざと出した。
< 52 / 159 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop