恋愛感情を貴方に教えましょう。
~~大野友希目線~~
シャープペンシルの音だけが響く教室で、テストを受けていた。
早く部活に行きたい気持ちを抑えて。
そんな時、後ろのドアが勢いよく開いた。
「……っ大野……っ、先輩いますか……?」
息を切らしている。
俺が声をかけるよりも前に、先生が声をかけた。
「なんですか、今はテスト中なんですよ!」
「お願いします、早く来てください……っ!
柳沢が……っ!!」
「柳沢がどうかした?!」
柳沢という名前に驚いて、大きな声をだす。
「ちょっと、今テスト中……!」
「先生、ちょっと失礼します。」
先生の横をくぐり抜けると、道場まで全速力で走った。
バン!!
扉をあけると、有坂がうずくまって泣いているように見える。
いや、よく見ると誰かを抱えていた。
「………っ!!
柳沢?!どうした?!」
柳沢の意識はない。
それでも聞かずにはいられなかった。
後頭部から血が出ている。
その時、フッと意識が戻る。
「あり…さか……君?」
「柳沢さん!大丈夫?!」
「なんとか……」
俺も声をかける。
「柳沢、大丈夫か?!」
「……え?」
この時はまだ、意識が朦朧としているのかと思った。
だから今はまさかあんなことになるなんて、思っても見なかったんだ。


「……誰………?」
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