恋愛感情を貴方に教えましょう。
真実

柳沢さんが起きない

*有坂弘樹*
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……。
病院の装置の音が無性にうるさく感じる。
事故から、約1週間が過ぎた。
柳沢さんは命に別状はないが、後遺症が残るかもしれないらしい。
1週間の間ずっと、大野先輩公認で柳沢さんが起きるのを待っている。
(大丈夫かな……)
良くも悪くもない顔色にそわそわしながら、柳沢さんが起きるのを待つ。
ーーガラガラガラーー
ドアが開いたと思ったら、大野先輩が来てくれた。
大野先輩に向かって軽くお辞儀をすると、大野先輩もぎごちない感じでお辞儀を返してくれた。
後ろに柳沢さんと仲が良かった早田さんに、大野先輩と仲の良い木村先輩まで来てくれていた。
「柳沢、大丈夫?」
大野先輩が言った言葉に、曖昧に返事をする。
「多分大丈夫です。」
それ以外、誰も何も言わなかった。
大分落ち着いてくると突然、早田さんがペタリと座り込んだ。
「綾、どうしちゃったの……?
もう二度と起きないの……?」
「大丈夫だよ、きっと。
ね?今は、待とうよ。」
木村先輩が優しくフォローしてくれる。
早田さんも相当疲れているみたいだ。
皆早く起きてと、祈ることしか出来なかった。
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