恋愛感情を貴方に教えましょう。
*大野友希*
柳沢が先生の付き添いで病院まで運ばれた後、今日の部活は中止になった。
俺は有坂と早田を誘って柳沢の所まで行く事にした。
「ねぇ、これ、友希君と柳沢さんのカバン。
僕も柳沢さんの所に行きたい。」
翔太まで行くと言ってきた。
「でも翔太、柳沢とあんまり喋った事ないだろ?」
「有坂君と早田さん、大分混乱してるみたい。
僕も一緒に行って、2人を落ち着かせなきゃ。」
そして、この4人で行く事になった。
病院についてもまだ検査中で、中に入れてくれなかった。
検査が終わって3日がたっても柳沢は起きず、早田の顔にだんだん不安が迫ってくる。
翔太が上手くフォローしてくれているが、いつまでもつか…。
「あら、菫ちゃんと弘(ひろ)君じゃない?
昔よく遊びに来てくれたわね。
菫ちゃんは今でも来てくれるけど。」
柳沢のお母さんらしい。
「こんにちは。
えっと、説明しなくてもわかりますか?
一応しておきますね。
剣道部の部長の大野友希先輩と、同じく先輩の木村翔太先輩です。」
「あら、そうなのね。
てっきり、どっちかが綾の彼氏かと思っちゃった。
えっと、木村君…だっけ?」
翔太が小さく頷く。
「木村君はかっこいいから、モテるでしょう?
さっきどっちかが綾の彼氏かと思ったって言っちゃったけど、それはなかったわね。
両方凄くカッコイイし。」
いつも隣にいる翔太にカッコイイと言う人は多いが、俺に言ってくれる人なんていなかった。
だから少しだけ嬉しくなり、誰にもバレないように小さく微笑んだ。
< 10 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop