EGOIST
「何を根拠に」
「じゃぁ聞くが、こないだのパーティーの時、エレンがラッセルを連れてたのを見て何も思わなかったのか?」
「…………」

イアンの問いに、ダンテは押し黙る。
ごまかし方はいくらでもあるはずなのに、目の前の少年に対してはそのどれもが通用する気がしない。

「つまるところ、それが答えだろう」

頬杖を突きながらイアンは言った。

「…………どうしろってんだ」
「知るかよ。そのくらい自分で考えろ」

イアンは突き放す様に言った。

ダンテはふと数日前にジョシュアに言われた言葉を思い出す。

『ただどうか、後悔のない選択を』

言っていることは分かるのだ。
だが、何が後悔しない選択であるのか、何が最善なのか、ダンテには分からない。

ダンテは今の生活に満足している。
平凡で、程よく刺激のある生活。
それを続けていけたならと思う。

しかし、その一方で彼女の横に他人が立つことがどうにも許せない自分もいる。
あの場所は自分の場所なのだと、苛立ちを覚える。
それに気づいたのはつい数日前の話だ。

あぁ、けれど、とダンテは思う。
理由は分からないが、それ以外の何かがある気がする。
何かははっきりしない。
感覚的には恐怖に近い気がするのだが―――。

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