EGOIST
「そんなこと言わずに行こうよ。私たちと遊ぶ方が絶対楽しいよ」

なんて言いながら、女子学生はダンテのスマートフォンを持っている手を引っ張った。

そこでようやくダンテが女子学生のほうを見た。
そうすれば、断るわけがない、という自信を隠しきれていない目とかち合う。

「あ、もしかして断りにくいとか?それなら私が代わりに断ってあげる」

「ね、いいでしょ?」と女子学生はダンテのスマートフォンを取ろうとする。
その行動に、一瞬ダンテの目に怒気の色が乗った。
だが、それは誰かに気が付かれる前に引っ込んだ。

ダンテは女子学生の手を軽く振り払う。
女子学生はそれに目を丸くする。
ダンテがそのような行動をするとは夢にも思っていなかった、というような顔だ。

ダンテは手に持っていたスマートフォンをヒップポケットに突っ込んだ。

「悪いな、その誘いには乗れない」

そう言ったダンテは愛想笑いを浮かべた。

そうしてまた何か言われる前にと、ダンテはさっさと教室を出た。

「自信過剰なんだよ。やだねぇ、あぁいうタイプは」

「これ以上お近づきになりたくねぇ………」とぼやいた。

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