EGOIST
3 shots
授業が終了し、これからの予定を話す学生の声で騒がしくなる室内。
それをBGMに、ダンテはスマートフォンを弄っている。

「おーい、ダンテ今日「無理」「まだ何も言ってないだろ」

声をかけてきた男子学生の言葉を途中で遮ったダンテに、男子学生は不満そうな顔をした。

「どうせ女子誘って遊びに行くから来いっていうんだろ」

スマートフォンから顔を上げないままダンテが言うと、男子学生は「ぐ、」と詰まる。

「悪いけど、これから予定入ってるんだわ。他当たってくれ」
「えぇ………お前目当ての女子もいるのに」
「知るか。確認もせずに俺の名前使う方が悪い」

男子学生の不満を容赦なく切り捨てた。
そんなダンテの言葉に「そうなんだけどさぁ………」と情けない声が上がる。

「えー、ダンテ君来ないの?」

そこへ1人の女子学生が近づいてきた。
学年内で可愛いと男子の中で最も人気な女子だ。

ダンテとは共通科目で何度か顔こそ合わせたことはあるが、所属する学科が違うのもあって特にこれと言って接点はない。
正直言えば、名前すら憶えていない。

「予定が入ってるんだってさ」
「えー予定なんていいじゃない」
「悪いな。そうもいかねぇんだ」

そう言い、ダンテは椅子から立ち上がった。
そして机に置いていたメッセンジャーバッグを持つ。

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