スーパーアイドル拾いました!
「ねえ真? 海斗の連続ドラマ、録画したままだよね? 明日休みだし、見て見ない?」


「はあ? 俺、受験生なんですけど?」

 そういいながらも、真はテレビのリモコンを手にした。


 相変わらず、胸がキュンとするようなセリフの多いドラマだ。


 しばらく見続けていたが……


「あっ」

 柚奈と真が同時に声を上げた。


「ここからだよね……」

 柚奈の声に、真も肯いた。


「なんか違うよな……」


 さっきのシーンと、髪型も服装も同じなのに、柚奈と真の知っている海斗の顔がテレビに映っている。

 誰が見ても気付く事なのか? 

 柚奈と真だけにしか解らない事なのか?


 海斗の表情が、変わった瞬間だった……


「このドラマさ、後半すごい反響だったらしいよ」

 真がぼそっと言った。


「ふーん」


「海斗、映画も歌も、前と全然違っていてさ、魅力が出たっていうか? 人間らしくなったっていうか?」


「そっか、ちゃんと自分の居場所見つけたんだね……」


 後半ドラマの海斗は、今まで見たこともない、胸が締め付けられるような演技をしていた……


 それは、柚奈が海斗を知ってしまったからなのだろうか?



 海斗のただのファンになってしまった寂しさと、あの一か月を胸に熱く残した複雑思いに苦しい……


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