ウサギ系幼なじみの溺愛事情【完】
「なずなちゃん、幸せそうだね」


「へ?」





渉くんにそう言われ首を傾げた。





「幼なじみくんのこと考えてるときのなずなちゃんが一番可愛いよ」


「か、可愛いっ!?」





渉くんは私をからかうようにそう言うと、ベンチから立ち上がった。





「それじゃ、俺もう行くね。またみんなで遊ぼうぜっ!じゃ」





爽やかにそう言うと、渉くんは颯爽と立ち去ったのだった。





「…蓮のこと考えてるときの私って、どんな顔してるのよ~…」





やれやれとため息をついたが、口元はしっかりと弧を描いていた。





渉くんにちゃんと報告も出来たしよかった!





これでスッキリした!…って、あれ。


なにか大切なことを忘れているような…





思い出そうとしたが、全くピンとくるものがなかった。





まっ、いっか。


忘れてるってことはそんな大切なことじゃないよね、きっと。





私は少し気分をよくしながら、軽い足取りで教室へと戻ったのだった。
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