隣人が世話焼きな件について
「らい…じょぶ…れす」
呂律の回らない舌で返事をして、テーブルに手をついてなんとか立ち上がるとクルクルと視界が回り咄嗟に壁に手をつく
専務が足元の私の荷物を持ち、壁についていた私の左手を自らの肩に回し、右手で私の腰を支える
「ちょ…せんむ、らいじょぶれすって」
専務から離れようとするがガッシリと掴まれてる上に力が入らない
「小木曽、これ持って」とテーブルの向こう側に立つ小木曽くんに自分のと私のカバンを渡す
カバンを人質…荷質にとられ専務に引き摺られるように宴会場を後にする
店を出ると既に解散のようで、参加者たちは各々に帰路についている
専務に引き摺られたまま駅の方にゆっくりと進む
「家どこ?」
「田辺さんはK駅です」
専務の問に並んで歩いている荷質を持った小木曽くんが答える
「れんしゃでかえりまふ〜」
相変わらず呂律は回らない
「いや、無理だろ。タクシーで帰るぞ」
ピシャリと電車を却下される
「こんな状態の田辺ちゃん電車で帰したら美香に殺される…小木曽も乗ってけ」
美香…?
どっかで聞いた名前だなぁ…
「あ、れんちょーら」
店長が確か下の名前が美香だったような…
今度会ったら聞いてみよう