マーメイドはホテル王子に恋をする?!
お湯の染み込んできた髪は真っ直ぐなストレートに戻り、背中の真ん中辺りにまで伸びてくる。

綺麗に纏めて貰ったことも台無しにしてしまった。
つくづく木本さんには申し訳がない……。


シャンプーを洗い落とした後、同じ香りのトリートメントを馴染ませた。
指通り良くツルツルとした感触と、ふわりと香る優しいバラの香りに癒される。


スイートにこんないいアメニティグッズが置いてあるなんて知らなかった。
私は今まで何も考えずにフロント業務を行っていたのか。


反省しながらバスルームを出る頃には、やはり社長の帰りを待つことにしようと考えが固まる。

きちんとお礼を言ってから帰宅しよう。
流石にアルコールは飛んだし、これだけ体が温もれば運転もきっと出来るーー。


「あっ…だけど、私の服は?レンタルブティックに置いたままだ…」


そうだった…と思い出し、それじゃお風呂から上がったら何を着ればいいのか…と悩み始める。

きっと室内にはバスローブかパジャマ程度しか置いてない。社長が戻るまでは、それだけしか羽織れないのだ。


(それってどうよ。まるで誘っているみたいじゃない?)


下着は取り敢えず設えの洗濯乾燥機に放り込んで回したから大丈夫。もう少ししたら乾くと思う。
だけど、それ以外には室内用のパジャマかバスローブしかない。


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