××したいくらい、好き。

それができなかったのは。


「……っ」


悔しかったから。


どうして、伝わらないんだろう…。

どうして絆奈に、届かないんだろう。


そう思ったら、僕が抱きしめて何を言っても、今の絆奈には信じてもらえないんじゃないかって。


そう思ったら………。



「くそ……っ」


泣いてる絆奈が、僕の横を通り過ぎたとき、ああどうして彼女の言葉を否定しなかったんだろうって、悔やんだ。

信じてもらえなくても、言うべきだった。


爪が、手のひらに食い込んで。

生暖かい雫が一滴、指を伝って床に落ちた。


絆奈。

絆奈。


「……会いたい……」