××したいくらい、好き。
「おーい、海音ー」
すると、教室の外からかいとくんを呼ぶ声が聞こえた。
一同が廊下へ視線を移す中、なぜかかいとくんだけはそれと反対方向を向く。
「あ、あいつ聞こえないふりしやがった」
「こーらバカイト!!」
ずかずかと教室に入ってきたのは、私とあまり変わらないくらいの身長の男子二人。
「今日こそは部活来いよな」
明るい茶色で、重力に逆らったような髪型の男の子が、両手を腰に当てて怒った素振りをしながらそっぽを向き続けるかいとくんにそう言った。
「明日はすぐ近くの光桜高校と練習試合もあるし、とりあえずお前、来い」
もう一人のさらさらの黒髪の男の子も同じ体勢でそう告げた。
かいとくんは、わなわなと肩をふるわせながらゆらりと彼らを見る。
だが腕の力は緩まないままだった。
「僕と絆奈ちゃんとの幸せな時間を邪魔した罪は重い……!! お前ら絞首刑……!!」
「はいはい」
二人も、かいとくんの扱いには慣れている様子だった。
それにしても、本当にかいとくんは人気者だなあ……。
「えーっと、かいとくんってバスケ部なの?」
なっちゃんが、見慣れない二人に声をかける。
すると二人は、呆れたようにため息をついてからうなずいた。