好きですか? いいえ・・・。
友達認定する。





「へえー、事故で……。」



落合くんが私の身体を抱えて、車椅子に戻しながらそう言った。



「そのトラック、最低じゃんか。オレがその場に居たらギッタギタのボッコボコにしてやったのに!」



私は緊張していた。初めて男の人に身体を抱えられて、それもお姫様抱っこで。歩けなくなってもお姫様抱っこはしてもらえるんだ。



いや、歩けなくなったからこそなのか? わからない。わからなくていい。細くて、でも芯の太そうな腕に抱かれて、女の子じゃ味わえないこの感触。たまらなくいい。



「それで、いつ治るの?」



「治らないの。」



私は極力笑顔を努めて言った。



「治らないの?」



「そう。治らないの。」



また極力笑顔を努めて言った時、発見があった。最初に「治らない。」って声に出してしまったら、本当に治らないんじゃないかって思えた。次に「治らない。」って声に出したら、絶対に治らないって事実の余韻に浸ってしまう。もし次に「治らない。」って声に出してしまったらどうなるのだろう……。



「治るよ。」落合くんは私の「治らない。」を一つ消してくれた。



「医学は日々、進歩してるんだから、絶対治るよ。」



落合くんはまた「治るよ。」と言って、私の「治らない。」を消してくれた。次に落合くんが「治るよ。」って言ってくれたら……私は治るのかもしれない。いや、実際には治らないかもしれないけど、治る。そう思えてきて、ポジティブに生きていける気がした。




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