好きですか? いいえ・・・。





教室までの距離は、階段からすぐのところにある。



3年生になってから私がずっと通っていた教室……。教室の後ろの扉から少し離れたところにいても、先生の授業中に聞く懐かしい声が聞こえる。きっとそこには、寝ているクラスメイト、スマホをいじっているクラスメイト、受験前で必死になって勉強しているクラスメイトがいる。いつもの見慣れた風景のはずが、頭の中で想像するだけで懐かしく思える。



「それじゃ、行きますか?」



「うん……でも……。」



私はここまで来ていて渋っていた。小学校の時、不登校のクラスメイトが久々に学校に来た時の気持ちがわかったような気がする。



担任の先生にその子が来る前日に、「明日、久しぶりに〇〇くんが学校に来るから、みんな仲良くしてあげてね。」と言われたことを思い出した。クラスメイトは私も含め、先生に言われた通り、その子に積極的に話しかけていた。それでもその子は、次の日からまた学校に来なくなった。



私は今日まで、その子は元々学校が嫌いなだけだと思っていた。でも、そうじゃなかった。学校は好きだけど、急にあんな感じで、手のひら返したようにグイグイ来られたことに恐怖を感じたんだと思う。



初めは誰だって仲良くしてくれる。でも、それが日常に戻った時、また同じようにいじめられるかもしれない。その子はきっとそのことを肌で感じ取っていたんだと思う。




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