好きですか? いいえ・・・。





「ということですから、先生。よかったら落合くんのカツカレー食べます?」



「あら本当? ちょうどよかったわー! 遠慮なくもらうわね!」



山辺先生が取ろうとした落合くんは、両手で塞いでブロックした。



「ダメです! これはオレのカツカレーなんすから!」



「あら? でも食べれないんじゃないの?」



「先生に食べられるくらいなら、自分で食います!」



山辺先生に食べられまいと、落合くんはカツカレーにがっついた。



「うめぇー! チョーうめぇ!!」



そうだ。それでいい。これくらいの特権、たまにはあったっていい。



私も手を合わせていただきます。一口運ぶ。昨日食べたばかりなのに、今日も美味しい。



ふと顔を上げると、口の周りをカレールーで汚した落合くんの幸せそうな顔がある。その顔を見ていると、なんだか嬉しくなって、気持ち、昨日食べたカツカレーよりも美味しく感じた。




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