好きですか? いいえ・・・。





「思ったより早かったわね。さあさあ、早く席について!」



お母さんにそう促され、私たちは食卓についた。私の対面はいつもお母さんが座っているけど、今日は落合くんが座ることになって、お母さんは真ん中の席に座った。



「んじゃー、蓋開けるよ? ご唱和ください。」



お母さんの言葉に私たちは顔を見合わせ頷いた。



「「「いっせーのっせっ!」」」



蓋を開けると、湯気がモクモクモクと立ち込めてきて、カニが豚肉がエビが白菜が春菊がネギが豆腐が肉団子が現れた。



「「「おおーっ……。」」」



私たち3人は一斉にため息に似た声を漏らした。すごい。いつもの鍋にカニが乗るだけで、こんなにも違って見えるんだ。



「お母さん……カニってすごいね。」



「そうね……カニってすごいわね。」




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