私の正体、バレてたまるものですか
撮影
「あーもう!遅刻する!」

あれからぐっすり寝てしまい、起きたのは午前5時。

目覚ましはかけてたものの、眠さに負け、起きてはとめを繰り返した。

やっと目が覚めた頃には携帯に何十件もの通知。

(…恵美さん?仕事の変更でもあったのかな?)


不思議に思いながら携帯を開く。

《明日は早いから、早めに寝てね。》

《凛?用意できた?》

恵美は私の本名を知ってるものの、基本”凛”と呼ぶ。

《今日は6時集合よ。》

《いまどこ?》

《凛?》

いつもはこまめに携帯をチェックする私から連絡もこず、既読もつかず、昨日のこともあるから心配してくれたのだろう。

着信もいくつかある。

(6時か…。早いな。今何時?)

時計を見ると5時。

(え!?やば!!間に合うかな!?)

《すみません!今起きました!急いで向かいます!》

携帯片手に用意をする。

10分で用意を済ませ、急いで家を出る。

(やー!すっかり忘れてた!今日からドラマの撮影だったんだ!)

撮影場所は家から電車も使って20分ほど。
今回は近いからと言っていつも家まで車で迎えに来てくれる恵美を断ったのだ。

(あ、変装しなきゃ!忘れてた!)

鞄の中から急いで帽子と眼鏡をとり変装をする。

(よかった…周りに誰も人がいなくて…。)
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