MAYBE TOMORROW
デッキにわたしが貰ったカセットをセットする。
アンプのボリュームを回す。音が出た。

さっきのライブハウスの臨場感が蘇る。
床を誰かが歩くガタガタ音がする。

「野口、ずいぶん早めにセットしたんだなあ」

「そうですか?」

「うん。これ、始まるまでにあと三、四分あるよ。きっと」

お兄ちゃんはそういって自分はまた絨毯に座って上半身はベッドに寄りかかる。

「そろそろかな」

お兄ちゃんはひとりごとのようにつぶやいた。

やがてついさっきの再現。

「野口、サンキュー。で、アレも頼む」

「練習してないからなあ~」

「やるか」

「ああ」
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